ここに神経質な男がいる。

今日も、気にしたって無駄な些末事を50は見つけ考え疲弊し這う這うの体で帰路につく。

外を歩く時、頭上に致命傷を負わせる何かしらの塊が降ってくる事は滅多に無いだろうし、3度も確認したのだから今朝家のカギをかけ忘れて出てきたということはまず無いはずだ。

だが可能性がゼロで無い限り、男はふとした瞬間に様々な事を気にし始め、体は強張り、その思考は妨げられる。