朝靄

雨堂は朝靄にうかぶ防波堤に、
ゆらりと佇む一人の男をじっと見ていた。


その男の表情からは、
彼が一体何を考えているのか窺い知ることはできないが、
漠然とした孤独のようなものを雨堂は感じとっていた。

彼に殺されるかもしれない。
そう想像をふくらませると、楽しいような怖いような、ひんやりとした妙な興奮を覚えた。